大分前に、「男はつらいよ」の書き込みをした事があります。昨日偶然BSの番組でやっていたのを見ました。間に「釣りバカ日誌」を挟んで何年も放映しています。視聴する人が多いのでしょう。
最後まで見る積りはありませんでしたが、これはまともに見たことがないと気付きました。「東京ララバイ」の中原理恵が好演していて、若干ヤクザな交際相手を渡瀬恒彦が演じていました。先日、亡くなってしまいましたが、この頃から演技派の片鱗を感じました。中原理恵は、フウコというあだ名で女版寅さんのキャラクターです。出会った北海道を寅さんが後にする時、「寅さんがもう少し若かったら、私、寅さんと結婚するのに」と言います。私の知る限り、寅さんが告白された唯一の場面です。しかし、そこは寅さん、黙って背を向け肩で風を切って歩き出しますが、乗った列車で外の景色を見ている顔を見て、私は少し涙腺が緩んでしまいました。何を想っているのか分かったから。
私はこの時の寅さんの年を暗算してハッとしました。私と同じ歳です。読者の方が吹き出すリンクですが、そこは男というのは馬鹿な生き物だと大目に見てください。
渡瀬恒彦と先の見えない暮らしをしているアパートを寅さんが訪ね、「あの子は真面目な男と幸せになれる子だから」と別れるように頼み、皮肉交じりに、「あにさん、意外と純情なんですね」と言われます。寅さんに完全に洗脳されている自分には寅さんの振る舞いはスタンダードですが、まあ、世間には別のバージョンもあるのでしょう。
何かと世知辛い今こそフーテンの寅さん、そう思うのは私だけでしょうか。